• ユリイカ』11月号 特集:マンガはここにある

最近殊にマンガの特集が多いユリイカですが、今回は(も?)批評というよりは様々な作家の紹介という感じ。
夏目房之介著作権に関する話が良かったが、とりあえず現時点での整理という意味合いが強い。
江口寿史山本直樹、司会者である堅田堅二*1の対談は、コミキューとエロティクスの話に終始している。マンガの最前線ってあるの?とか、今面白いマンガって少ないよねという話で、これはこれで面白い。堅田氏が「オシャレ」という形容詞に対して(嫌悪の感情から)敏感に反応していて、コミキューが「オシャレ」と言われることに関して反発を感じているという話は納得。堅田氏の「今やスポ根もオシャレもアーカイブの一選択肢として等価で読まれるようになっている。」というくだりは、なるほどなと思った。そのことと、今「面白いマンガ」というのが少なくなっている、ということはどこかで繋がることなのかもしれない。
というか、すでにジャンルによる差別化が無効化していて、個々の作品・作家に対する批評の方が強くなっているのだろう。読者の側としても、個々人の好みによるチョイスの方に重きを置いている感があるだろう。だから、ユリイカの特集も散漫なものにならざるをえないのかもしれない。このことは別に散漫だからダメということではないが…。