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たて続けに小田扉の新刊。ビッグコミックスピリッツ誌上で連載しているもの。団地に住む主人公「木下友夫」・小学4年生。小田氏の作品の中では、設定や展開が現実的な感じがする。さくらももこちびまる子ちゃん』の男の子版のような設定だが、緩急のあるコマ使いで「しょうもない」小学生男子を生き生きと描く*1様はさすが。もちろん、「単身赴任している父」が電話の声や影でしか描かれないという表現も小田扉ならでは。センチメントとユーモアを絶妙に織り交ぜながら、「欠員のある家族」という設定をすっと忍び込ませる。少ないページ数でこれだけの表現ができるのは、すごい。小田作品の中では安心して読める部類に入るだろう。
ポール・オースターの新刊は様々な未訳エッセイなどを日本独自で編纂したもの。保坂和志『<私>という演算』は新書館で出たものが、中公文庫で新たに出版された。

*1:時代背景は全く描かれないので、現在の小学生かとも思うが、虫取りや夏休みのラジオ体操、秘密基地などの設定は、少々古い感じもする。もちろん、意図して描いているのだろうし、「古い」から感傷的でつまらないというわけでは全くない。