ひとみ座のゴーリー公演

人形劇団ひとみ座*1によるエドワード・ゴーリーの人形劇「the bicycle」を見てきた*2。今日が千秋楽ということで、駆け込みで観劇。内容はゴーリーの『優雅に叱責する自転車』(ISBN:4309264352)と『不幸な子供』(ISBN:4309264972)を合体させたもの。この二作品は、翻訳されたゴーリーの作品の中でも、ナンセンスな作品と(一応の)ストーリーらしきものがある作品という組み合わせ。
で、劇の感想。無言劇ということで、台詞はないが、その場で音楽がつく。その音楽が良い。トタンを叩くとか変な音のする笛とかを演奏するのだけれど、それがゴーリーの世界と合っていていい感じ。その楽器(?)をたった一人の人がやっているのだ。以前にデフ・パペットシアター・ひとみ*3の「オルフェウス」を見に行ったのだが、その時の音楽もその方だった。「見える」音楽という感じか。内容のほうは、自転車パートに出てくるワニやカラスがとてもいい動きをしていたし、不幸パートの主人公シャーロットのあまりにも「不幸」なところなんかは、絶望を通り越したユーモアという感じに見れてよかった。
ひとつ難点をつけるとすれば、お芝居のテンポが悪かったこと。人型の人形は棒使いと手使いを組み合わせた人形なのだけれど、もっと大きく動かしてもいいのでは。エンブリー、ユーバート、シャーロットの人形はかなり小さめなので、少々動きが見えにくい。演出的に間をとっているのか、動きが遅いだけなのか。特に、自転車パートは内容がナンセンスなだけに、芝居のテンポを作り出せれば、もっと面白くなった気がする。
と、書いたが、こまかな美術や、原作にない独自の演出はうまくいっていると思う。『弦のないハープ』(ISBN:4309266991)のイアプラス氏のような作家(ゴーリー自身?)を「つなぎ」役に持ってきて、ゴーリー作品で印象的な「壷」を物語の起点とするあたりは、いいなと思った。

*1:NHKで放映された新旧「ひょっこりひょうたん島」の操演をした人形劇団です

*2:http://users.ejnet.ne.jp/~bicycle/

*3:ろう者と聴者が共につくる人形劇団http://www.deaf-puppet.or.jp/