上からの続きみたいな感じ。少々強引で手前味噌なつながりを指摘してみます。
川上弘美シミックとを並べて見ると、やはり「どこでもない場所」というのがひとつのキーワードになっている気がする。川上弘美の話は本人曰く「うそばなし」というものであり、平気で河童や言葉を話す熊が出てきたりする。シミックの詩は川上とは形式も内容も異なっている。しかし、川上が日常的なものと異世界のものの組み合わせによって寓話的で非日常(?)の世界を創り出しているとしたら、シミックシュールレアリスティックな手法によって新たな別世界(異世界)を創り出しているとも読める。
さらに発展させると、三浦雅士が『村上春樹柴田元幸のもうひとつのアメリカ』で指摘していたこと*1ともつなげて考えることが出来るのではないか。川上、シミック、村上という「冥界下降譚」的な物語(もしくは世界観)と柴田元幸のつながりというのも面白い点だと思う。これ以上のことはまだ考えていないが、たしか「文藝」の2003年秋季号での川上弘美特集に柴田元幸が寄稿していた。手元にないのでたしかではないが、川上弘美作品の翻訳の難しさといった内容だった。柴田氏も川上弘美作品に惹かれているというのは予想できることだろう。