MAYAMAXX個展の感想を遅ればせながら…。
 以前の個展は2001年の冬に原宿のラ・フォーレでやったのを見に行った記憶がある。しかし今回はライブペインティング(「対話の記録」と呼ばれている)があるということで、とても楽しみにしていた。
 ギャラリーは有楽町線江戸川橋駅というところにあって、何か用がなければ一生行きそうもないところだ。降りてしばらく歩くと、何の変哲もない小さなビルの一階が会場となっていた。外には大きな絵が貼ってある。時間が遅かったので周りが暗かったのが残念。恐る恐る中へと入る。そこで、二十人くらいの人に囲まれて、MAYAさんが絵を描いていた。ギャラリーの隅っこのところで、下にシートをひきながら、座って話をしながら描いていた。
 とりあえず、一階と二階に展示されている新作の絵を見て(そんなに広くはない)、MAYAさんの輪の中に紛れ込む。前の人は体育座りで、後ろのほうの人は立っているが、そんなに人が多くないのでとてもとても接近している。そして一番前に座っている女の子と話しながら、絵を色を塗ったりしている。大きな南瓜に座っているウサギ(かな?)の恋人同士という絵のようだ。
 MAYAさんは、その子と話しながら、「どんな絵が好きか?」とか「何に熱中しているの?」といったことを聞きながら、その人からいろいろなものを引き出そうとしている。そして一旦描き始めると、ものすごく早い。画家の「MAYAMAXX」になりきって、あの力強いのか弱いのかわからない、とても魅力的な線をずずずっと描いていく。
 そして一気に描き上げる(好きな色やモチーフを聞きながらであるけど)と、話していた人と一緒に写真をとる。だいたい三十分で一つの絵が完成する。そこにいる人もみんな気さくな感じで、俺なんかがいていいのか、なんて思ったりもしたけれど、だんだんと慣れて、一緒になって笑ったり、MAYAさんの話を聞いたりした。
 ライブペインティングを見ていて感じたのは、MAYAさんが「対話」をとても大事にしているなあ、ということ。絵を描き始めるとあっという間なのだけれど、描き始める前までの積み重ねがその場に残されていく作業を見ながら、その一回性というか、まさに「ライブ」な感じがとてもよかった。様々な思考や感情があるにもかかわらず、そのごちゃごちゃ感をたった一つの絵(線)として表現することの尊さと儚さを感じた。
 最近のMAYAMAXXの絵は、一枚の絵に一つのモチーフのみを描くようになってきた気がする。そして使う色もだんだんとシンプルになり(新作の猿の絵はほとんど黒色だけしか使ってない)、絵の中に描かれる言葉も少なくなってきている。俺の感想だけど、このシンプルな傾向というのは、MAYAMAXXの描きたいのは、色とか構図とかモチーフとかじゃなくて、究極的には「線」なのかなあということを思った。そういえば、MAYAさんは、描き始めた頃は絵よりも書に興味があって、習い事の中で唯一ずっと続けていたのが書道だった、ということを言っていた。このことをもうちょっと聞いてみたかったが、時間も押し迫ってきたので、聞けなかった。まあ今後の活動でそれがわかってくることだろう。とにかく色々と刺激的な体験だった。